GeoJSON形式保存機能
公図ビューアでは、表示している図面のデータをGeoJSON形式で保存できます。
この機能は、公共座標系か任意座標系かに関係なく、座標の数値は読み込んだ元データのまま保存します。つまり、登記所備付地図データを、XY座標のままGeoJSONファイルに保存できます。
GeoJSONファイル | 座標データ | 公共座標系 | 任意座標系 | |
---|---|---|---|---|
1 | G空間情報センター | 緯度経度に変換済み | ○ | - |
2 | 公図ビューア(本機能) | 元データのまま | ○ | ○ |
G空間情報センターのGeoJSONファイルとの違い
上の表に示すように、G空間情報センターから提供されているGeoJSONファイルは、公共座標系の登記所備付地図データを緯度経度に変換したものですが、公図ビューアの場合は、公共座標系であっても変換しないでそのまま座標データを保存します。両者の違いに留意して適宜使い分けてください。
GeoJSONは汎用的なファイル形式なので、登記所備付地図データがGISで読み込めるようになります。さらに、PythonやQGISで GeoJSON から DXF に変換すれば、CADでも読み込めます。
目次
GeoJSONとは、地図上の図形データのためのテキストファイルフォーマットです。Web地図の分野で広く利用されている汎用的なフォーマットです。点・線・ポリゴンの図形タイプをサポートしており、各図形には属性(プロパティ)を付け加えることもできます。
また、ファイルには座標参照系(CRS)も書き込めます。ファイル内にCRSの情報があることで、GISソフトで読み込んだ時に、背景地図と座標系を整合させることが可能になります。
GeoJSON形式は、インターネットの標準化団体IETFにより RFC7946 で定義されています。
GeoJSON形式で保存する方法
表示中の図面をGeoJSON形式で保存するには、以下のように左側にある「GeoJSON形式で保存」ボタンをクリックします。
すると以下のようなダイアログが表示されるので、[保存]をクリックするとGeoJSONファイルがすぐに保存されます。
以下のように拡張子がgeojson
のGeoJSONファイルが保存されたのを確認できます。
1筆分のデータを保存する方法
1筆分のデータのGeoJSONファイルを保存するには、以下のように筆を選択中のまま「GeoJSON形式で保存」ボタンをクリックします。
すると今度は対象データが「選択中の筆のみ」に切り替わったダイアログが表示されるので、同様に[保存]をクリックするとGeoJSONファイルがすぐに保存されます。
ファイル名は以下のように「所在地+地番.geojson」で保存されます。
座標系について
公図ビューアでは、前述の通り登記所備付地図データのXMLファイルをGeoJSON形式に変えるだけで座標データはそのままです。ただし、「座標系」は、EPSGと呼ばれる座標参照系(CRS)のコードに置き換えていますので、その方法を以下で説明しておきます。
登記所備付地図データのXMLファイルには、1ファイルにつき1種類の「座標系」が書き込まれています。ファイル内の座標データは、この座標系に基づきます。
XMLファイルに使用できる座標系は「公共座標1系〜公共座標19系」と「任意座標系」であり、以下のように法務省の「地図XMLフォーマット」で定められています。
一方、「測地系」については、上の表の下線に示すように「日本測地系2000(JGD2000)又は日本測地系2011(JGD2011)」とされており、JGD2000 と JGD2011 で区別されていません。
GISソフトでGeoJSONファイルを読み込む場合、位置を一意に整合させるために「EPSG」と呼ばれるコードを使用します。このEPSGコードを決めるには「座標系」と「測地系」の両方を特定する必要があるので、公図ビューアでは元のXMLファイルの測地系は JGD2000 であると仮定しています。
JGD2000の公共座標系1〜19系のEPSGコードは2443~2461なので、公図ビューアでは元のXMLファイルの座標系を以下のEPSGコードに置き換えてGeoJSONファイルに書き込んでいます。
XMLファイルの座標系 | GeoJSONファイルのEPSG |
---|---|
公共座標1系 | 2443 |
公共座標2系 | 2444 |
公共座標3系 | 2445 |
公共座標4系 | 2446 |
公共座標5系 | 2447 |
公共座標6系 | 2448 |
公共座標7系 | 2449 |
公共座標8系 | 2450 |
公共座標9系 | 2451 |
公共座標10系 | 2452 |
公共座標11系 | 2453 |
公共座標12系 | 2454 |
公共座標13系 | 2455 |
公共座標14系 | 2456 |
公共座標15系 | 2457 |
公共座標16系 | 2458 |
公共座標17系 | 2459 |
公共座標18系 | 2460 |
公共座標19系 | 2461 |
任意座標系 | - |
なお、「任意座標系」については、該当するコードはないので、EPSGは書き込みません。座標系を書き込む項目には、データが無いこと示すnullという値が出力しています。
公共座標系のGeoJSONファイルをGISソフトで読み込む
以上のように「公共座標系」のGeoJSONファイルにはEPSGコードが書き込まれるので、GISソフトで読み込む時に簡単に座標変換できます。
例えば、「QGIS」の場合、公図ビューアで保存したGeoJSONファイルをレイヤに追加しようとすると、以下の画面が表示されます。
上の画面で公共座標系の平面直角座標系(XY)から地理座標系(緯度経度)に変換できるので、OKをクリックすると以下のようにWeb地図などに重ね合わせて表示できます。
QGISとは、無料でインストールして利用できるオープンソースのGISソフトです。世界中で人気があり、地理情報を扱う多様な分野で活用されています。公図ビューアで保存したGeoJSONファイルも読み込めるので、公図を空中写真の上に重ねたり、他の位置情報をプロットすることで公図の活用の幅を広げることができます。以下のリンクには、QGISの入門としてインストールや背景地図を追加する方法を説明していますので、参考にしてください。
デジタル庁の変換コンバータで作成したファイルとの違いについて
デジタル庁から公開されている変換コンバータで作成したGeoJSONファイルと以下の3つの違いがありますので、それぞれのGeoJSONファイルを一緒に利用する際には注意してください。
- 緯度経度に変換していません デジタル庁の変換コンバータと異なり、公共座標系のデータであっても地理座標系(緯度経度)に変換していません。座標系にかかわらず元のデータ(XY座標)をそのまま書き込んでいます。
- 代表点の座標が異なります デジタル庁の変換コンバータと同様に筆の代表点の位置を計算して「代表点緯度」と「代表点経度」に書き込みますが、異なる計算ロジックを用いているので代表点は同じ値になりません。
- 筆の属性を追加しています 筆の属性には、デジタル庁の変換コンバータで書き込まれる項目以外に、「地図種類」と「地図分類」を追加しています。
登記所備付地図データは、そのままのXMLファイルでは、一般的なGISソフトで直接開くことができないため、GeoJSON形式に変換するコンバータがデジタル庁から公開されています。このコンバータのソースコードは、登記所備付地図データの利活用に資するためにインターネット上で公開されており、公図ビューアの開発においても参考にさせていただています。